薩摩いろは歌(島津日新公いろは歌)のる
流通すと貴人や君が物語りはじめて聞ける顔もちぞよき
「目上の人が自分に話を聞かせるときは、その話を知っていても、初めて聞いたような顔で聞いた方が良い。」
目上の人が、自分のことを思って、色々話を聞かせてくれるときは、その話の内容を知っていても、あたかも、初めて聞いたような顔で聞いた方が、自分のためであることを教えています。
決して、その話は知っていると、口に出して言ったり、顔に出してはいけないことを戒めています。
目上の人には一日の長があります。
色々な話を聞かせてくれるのは、自分のことを思ってのことであります。
例え、聞かせてくれた話が、自分の知っている内容であっても、初めて聞くように真剣に聞くことが重要です。
目上の人は、何らかの目的を持って、あえて知っている話を聞かせてくれるときがあります。
そのようなとき、その話は知っていますとか、あからさまに、そんな話は知っていますというような顔つきで聞いていると、それから後、目上の人は重要な話を聞かせてくれなくなるかもしれません。
世の中には自分が考えている以上のことを考えている人がいます。
それを自分の浅い知識だけで判断し、したり顔をしていると自分の成長を妨げることがあります。
世の中には自分より賢い人がたくさんいることを認識して人の話、特に目上の方の話を聞く方が良いです。
目上の人を尊敬するのは、儒教の教えが取り入れられているのだと思います。
先人の知恵は、奥深いものが多いものです。
目上の人の話は、真摯に受け止め、表面だけの知識でしたり顔をするのは、自分のためにならないことを肝に銘じたいものです。