薩摩いろは歌(島津日新公いろは歌)のふ
無勢とて敵をあなどることなかれ多勢を見ても恐るべからず
「敵の人数が少ないからと言って、侮ってはいけない。また、敵の人数が多いからと言って恐れる必要はない。」
勝負の行方は、敵の人数の多い少ないで決まるのではありません。
勝負は、自分たちの気の持ち方や、日頃の鍛錬など、自分たちの要素で決まるのです。
ですから、敵の人数が少ないからと言って侮れば、勝負に負けることもあるでしょうし、敵の人数が多いからと言って、恐れることなく、一致団結し、気勢を上げて戦えば十分勝機はあるのです。
この歌では、勝負時の心得を端的に表しています。
前半の「無勢とて敵をあなどることなかれ」では、勝負における油断が結果に大きな影響を与えることを教えています。
勝負の世界では、偶然の勝利はあっても、偶然の敗北はないといわれます。
運よく勝つことはあっても、運が悪く負けることはないのです。
敗北には必ず原因があるという考え方です。
たとえば、奇跡的な事象で敗北を喫した場合、あれはしょうがないと考えがちですが、実際には、その奇跡的事象を引き起こしていたのは、自分たちなのです。
このように、敗北の原因を他人のせいにするのではなく、自分たちの中に見つけることで、反省し、改善することにより、自分たちは強くなっていくのです。
同様に、大人数の敵のように強敵と対峙すると、勝てる気がせず、気持ちの上ですでに負けてしまうことがあります。
しかし、気持ちの上で負けていると、勝負に勝つことは、まずありません。
強敵を目の前にしても、相手の弱点を観察し、戦略を練って、一致団結して戦えば勝機は必ずあるのです。
勝負の結果は、相手によるのではなく、自分の中に原因あるのだということを肝に銘じたいものです。